シュガー


2000年、夏の前。

父親が白くてふわふわした小さい猫を家に持って帰ってきた。


頭と背中、短い尻尾はグレー。白い長毛で、襟巻きを巻いてた。

みんなで「シュガー」と名付けた。

耳も鼻もお腹もピンクで、こんなに可愛い猫は見たことがないと思った。


小さいときは母のスリッパに入ってみたり、高い所に飛び乗ったり

とてもおてんばな猫だった。兄の釣ってきた魚を夜中に盗んで食べて、

口の周りを魚の血だらけにしていたこともあった。


押入れの奥まで探検しに行ったり、ごく稀に外へ出かけたりした。

食べることも大好きで、焼き魚と生クリームが大好きだった。

野菜も好きでキャベツに乗って勢いよく食べていたこともあった。


昼間日向ぼっこが好きで、よく私や母のベッドに乗って、温まって寝ていた。

夜は兄の足元で寝ていて、朝は耳元で鳴いて起こしていたそうだ。

私がお風呂に入っていると浴槽まで見に来て、

桶にぬるいお水を汲んであげるとその水をガブガブ飲んでいたり

面倒見の良いところがある猫だった。


先に旅立ったが後輩猫のメープルがいるときは、よく面倒を見ていて

グルーミングをしてあげたり、一緒に寝てあげていた。


佇まいも美しく、背中をしゃんと伸ばすような姿勢をして私たちをよく見ていた。

10代の時、写真を始めた時からよく被写体の練習になってもらった。

シュガーが日向ぼっこしながらお昼寝しているところを撮るのが好きだった。

多分だけど、シュガーがいなかったらこんなに写真は続いていないかもしれない。


シュガーは去年のくれから体調はあまり良くなかった。

私がオーストラリアから帰ってくるのと同時に

兄がホテルで2週間自主隔離を行なっている間、体調はさらに落ち込んでしまった。


よろよろと歩きながら家の中で彼を探し回ったり

小さく鳴いて「お兄ちゃんはどこに行ったの?」と私に聞いてきたように見えた。

兄が自主隔離を終え帰ってきて、ほんの数日後にシュガーは旅立った。

家に来た時と同じ夏の前だ。この家に来て20年だった。

兄に会うのを頑張って待っていたんじゃないかと思う。


私には姉のような存在で、兄には妹のような存在で

母にとっては娘のような存在だった。


シュガーの具合が悪くなった時、動物病院の先生が

「歳をとるのは猫にとって辛いことも増えるけど

シュガーちゃん見ると"お父さんに拾ってもらって、家にきたら案外楽しくて

私こんなに長生きしちゃった、幸せだよぉ"って顔してるよ。」と言ってくれた。


シュガーは家での生活を楽しんだかな。

20年間、本当に私はすごく幸せだった。


クローゼットを開けると、かけてある服の裾に白い毛が付いている。

それを見て、クローゼットの奥へ探検していく後ろ姿を色濃く思い出している。

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